「したっけ」という言葉は、北海道で生まれた親しみやすい方言の一つです。
この言葉が持つニュアンスは、「そうすると」「そしたら」「じゃあ」「そうしたら」「では」など、状況の転換や結論を示唆する際に用いられる接続詞の役割の表現です。
この表現に馴染みのある方は多いかもしれません。
元々は北海道特有の言い回しとして始まりましたが、その魅力と実用性から他の地域にも広がっています。
今回は、「したっけ」の意味や、それがどのように異なる地域で使われているのかを掘り下げていきます。
方言の奥深さを知ることができますので、是非最後までご覧頂けれ嬉しいです。
「したっけ」の方言はどこの言葉:意味と特徴
「したっけ」と聞くと、多くの人が北海道の言葉だと思い浮かべるかもしれません。
しかし、この方言は東日本を中心に多くの地域で愛用されており、それぞれの地で独自の意味合いや使い方が生まれています。
北海道では広く認知されている「したっけ」ですが、この言葉を通じて地域ごとの文化や人々の暮らしの一端を垣間見ることができます。
一言で「したっけ」と言っても、その背後には多様な表現や感情が隠されており、それを理解することで方言の豊かさがより一層深まります。
「したっけ」方言の意味、語源の由来は?
方言「したっけ」の起源については、複数の説が存在しますが、一つの定説には至っていません。
一つの見解としては、「そうしたら」が時間を経て「したっけ」という形に変化したと考えられています。
他にも、「したら」という言葉が変容し、「したったら」や「したっけら」といった形を経て現在の「したっけ」に落ち着いたという説もあります。
これらの変化は、「そうしたら」という意味合いを保ちつつ、地域や時代によって変化してきたことを示しています。
さらに、「したこと」が短縮されて「したっけ」となった説もあり、この場合は「~したかな」「~しなかったかな」という疑問形で使用されることが多いです。
また、別れ際の挨拶として「したっけね」「したっけよ」という形も見られ、これらが省略されて現在の形になったとも言われています。
これらの説からは、「したっけ」という言葉が、時間と共に様々な変化を遂げ、多くの人々に愛されるようになった経緯が窺えます。
「したっけ」地域色豊かな言葉遣いの特徴
「したっけ」という方言は、日本の東部地方で多様な意味と使い方を持ちます。
埼玉から千葉、神奈川、新潟に至るまで、この言葉は接続詞や挨拶として地域色豊かに用いられています。
それぞれの地域ごとの「したっけ」の使い方を紹介します。
北海道、「したっけ」の方言の意味
北の大地、北海道では、「したっけ」という言葉が日常会話に織り込まれています。
この方言は、ただの接続詞以上の役割を担い、「そうなったら」「その後は」の意味合いに加え、心温まる別れの言葉としても親しまれています。
例えば、友達との別れ際に「じゃ、またね」と言う代わりに、「じゃ、したっけね」と言うことで、その日の終わりを感じさせるとともに、次に会う日への期待を込めるのです。
・北海道:例文
「では、したっけね」(じぁ、またね)
宮城、「したっけ」の方言の意味
宮城県、特に仙台などでは、「したっけ」が日常の一部となっています。
「それじゃ」「その結果」という意味で、会話の中で自然と使用されます。
この方言は、宮城の人々にとっては非常に馴染み深く、方言であることを意識することなく使われています。
例えば、本屋に行って欲しかった本がなかったとき、「本屋に行ったけど、結局なかったよ」という意味で、「したっけやなかったべ」という表現を用います。
・宮城:例文
「本屋へ行ったども。したっけやなかったべ
(本屋へ行ったけど。そうしたらなかったよ)
他、仙台の方では、「したっけ」に「や」がついたりするようです。
山形、「したっけ」の方言の意味
山形県では、「したっけ」という言葉が、事柄と事柄をつなぐ接続詞として用いられます。
「そうなったらどうする?」や「その場合はどうなるの?」という意味で、日常会話の中で自然と使われているのです。
例えば、晴れた日に農作業をすることを話しているとき、「晴れたから、そうしたら仕事を始めようか」というように、自然の流れで使われるのが山形の「したっけ」です。
・山形:例文
「晴れだので、したっけ仕事すっか」
(晴れたので、そしたら仕事しようか)
新潟、「したっけ」の方言の意味
新潟県では、「したっけ」という言葉が、温かみのあるコミュニケーションで、
「そうしたら」「それでは」というシチュエーションで、話のつなぎや結論を示すために用いられます。
新潟の方言は地域によって多様で、それぞれの地域色を反映していますが、「したっけ」は広く共通して理解されている表現の一つです。
たとえば、「おやつの時間になったね。それじゃ、饅頭でも食べようか」というように、くつろぎの時間にぴったりな会話で登場します。
・新潟:例文
「おやつなら、したっけ、饅頭たべ」
(おやつなら、そうしたら、饅頭たべなさい)
茨城、「したっけ」の方言の意味
茨城県では、「したっけ」という言葉が、どのような次の行動を問う際や、
軽い別れの挨拶として使われます。
「それからどうする?」「そうなったらどうなるの?」といった状況で自然と出てくるのが茨城弁の「したっけ」です。
たとえば、友達同士で次にどこに行くか決めている時、「そしたら、次はどこに行こう?」という意味で、「したっけ、次どこ行くよ?」という表現が使われます。
また、「さようなら」を意味する時は、「したっけね」と一言で気軽に別れ際の言葉です。
・茨城:例文
「したっけ、次どこ行くよ?」
(そしたら、次はどこに行きましょうか?)
千葉、「したっけ」の方言の意味
海と緑に囲まれた千葉県では、「したっけ」という言葉が独自のニュアンスを持って使われます。
「そうなったら」「~ということになれば」という接続詞としての機能はもちろん、千葉独特のイントネーションで話されることが多いです。
例えば、「ピーナッツをこっそり食べたら、案の定、お母さんに叱られたよ」というシチュエーションで使われることも。
・千葉:例文
「ピーナッツ黙っで食べた。したっけ、親に怒られたー」
(ピーナッツ黙っで食べた。そうしたら、親に怒られた)
埼玉、「したっけ」の方言の意味
一見、方言が少ないと思われがちな埼玉県でも、「したっけ」という表現は日常的に用いられています。
この言葉は、「そうしたら」「それでは」「さようなら」という幅広い状況で活躍する便利なフレーズです。
埼玉ではこの言葉がシーンを選ばず、さりげなく会話に織り交ぜられます。
例えば、「お昼時だね。じゃあ、今日はうどんで決まりかな?」という風に、次の行動への提案や合意形成に役立てられるのが特徴です。
・埼玉:例文
「昼だに。したっけ、今日うどんにするん」
(お昼だね、そうしたら、今日はうどんにするの)
神奈川、「したっけ」の方言の意味
神奈川県では、「したっけ」という表現が、日常会話の中で自然と使われています。
「~ということになると」「~した結果」という意味合いで、話の転換点や結論を示す際に役立てられます。
神奈川では標準語に近い言葉遣いが多い中で、「したっけ」は方言としての色彩を残しつつも、スムーズに会話に溶け込んでいます。
例として、「お昼になったから、今日はシュウマイで決まりね」という場面で使われることがあります。
・神奈川:例文
「昼だに。したっけ、シュウマイにする」
(お昼だね、そうしたら、シュウマイにする)
栃木、「したっけ」の方言の意味
栃木県では、「したっけ」は「そうしたらどうなるの?」という意味で日常的に用いられる方言です。
関東圏に位置しながらも、独自の言葉遣いを持つ栃木では、「したっけ」が会話をスムーズにつなげるキーワードになっています。
例えば、いたずらをして親に叱られた子供が、「いちごを食べた後、怒られたんだ」と話すとき、「いちご食べたら、したっけ、親に怒られた」と表現します。
・栃木:例文
「黙っでいちご食べた。したっけ、親に怒られたー」
(黙っでいちご食べた。そうしたら、親に怒られた)
「したっけ」方言と標準語の意味の違い
東日本において「したっけ」という言葉は、様々なシーンで活用される方言です。
具体的には、北海道から関東、さらに中部地方にかけての広範囲で、会話をつなげる接続詞「そうしたら」や、軽い挨拶としての「さようなら」等の意味で用いられます。
一方、標準語での「したっけ」は、疑問形を伴い、過去の行動や出来事に対する確認や思い返しを示します。
「本当にその仕事終わったっけ?」
(本当にその作業を終えたのだろうか)や
「昨日は雨がふってたっけ?」
(昨日は雨が降っていなかったはずでは)
など、過去に起きたことに対する確認や反問に用いられるのが特徴です。
このように、方言としての「したっけ」は接続詞や挨拶としての機能が強調されるのに対し、標準語では主に過去の事実に対する疑問や確認のニュアンスで使われることが明確な違いとして挙げられます。
まとめ
「したっけ」という言葉は、東日本を中心に様々な地方で親しまれている方言であり、
その使い方は地域によって微妙な違いがあります。
北海道を思い起こさせることが多いこの表現ですが、実際には関東や中部地方でも日常的に使われ、その地域ごとの特色を反映しています。
東京などの都市部で生活していると、無意識のうちに「したっけ」が口をついて出ることもあるでしょう。
しかし、この言葉は西日本ではあまり聞くことが少なく、西日本では標準語の「昨日、おやつ食べたっけ」(昨日、おやつ食べたかな?)など疑問の言葉として使うことが多いのが特徴ですね。
このように、「したっけ」の方言はその土地の文化や歴史、人々の暮らしが織り成す独特の表現であり、深く知れば知るほどその土地の魅力が伝わってきますね。
是非、この方言を覚えて頂き広めていただけると嬉しいです。