「こける」という言葉には、どのようなユニークな意味が込められているのでしょうか?
この言葉についての地域によって異なる面白い使い方があるため、今回はその詳細について解説します。
ある日、近所の方同士での立ち話を聞いていると、なんやら「散歩中の老婦人が突然転んでしまいました」との話の内容でした。
話を聞いている一人より「こけるとはどういう意味ですか?」ということを聞かれていた様子で、これは意外な質問のように私を感じました。
もしかしたら、この「こける」は関西地方の表現なのかもしれないと感じました。
そこで、この言葉が気になり、そのユニークな使い方と、本当に関西弁なのか?など、調べましたので紹介します。
関西地方でよく使われる「こける」の例を交えて紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「こける」は方言?、どういう意味?
関西地方を中心に使われる「こける」という言葉には、主に2つの意味があります。
・転ぶ・倒れる
例: 「買い物に行く途中、自転車でこけて膝をすりむいてしもた」
(買い物に行く途中に、自転車で転んで膝を擦りむいてしまった)
・失敗、うまく行かない
例: 「あいつの計画、こけてしまえ」
(あいつの計画、失敗すればいいのに)
このように関西人は「こける」と「転ぶ」をほぼ同じように使い分けています。
使用頻度は大体50%ずつといったところで、年齢によっても大きな差はなく、幅広い世代で使われていますので、「こける」は方言ではなく、標準語の位置づけも可能性あります。
「こける」の言葉は、どこの方言?
「こける」と言う言葉は、調べましたが関東を初め、中部地方、関西地方などでも使われるることがあり、方言というよりは、むしろ共通語の位置づけとして広く使われています。
しかし、西日本での使用頻度が高いこと、言葉が関西方面の方言として知られているもの事実。
具体的には、近畿地方(京都、大阪、兵庫など)、四国地方(愛媛、香川など)、中国地方(岡山、広島など)でよく使われています。
すなわち「こける」は標準語的な位置づけの言葉であるが、認知としては関西弁のイメージが定着した方言の一つとも言えます。
「こける」の言葉の語源とは?
「こける」の語源は、古くからある動詞「転ける」に由来します。
「転ける」は「転ぶ」と同義で、地面に倒れることを意味し、この言葉は平安時代の文献にも登場するほど古い言葉です。
ただ、地域によって「こける」の使い方は少し異なり、一部の地域では「失敗する」という意味で使われることもあります。
また、「弱る」や「疲れる」といった意味で使われたり、農業が盛んな地域では「今年の作物は、こけたよ」(今年の作物は、うまく育たない)という意味で使われることもあります。
このように「こける」は地域によって微妙な違いがありますが、基本的には「転ぶ」「倒れる」という意味で使われる共通語なのです。
「こける」の言葉を使った、ユニークな例文10選
「こける」という言葉は、失敗やうまくいかない状況を表現する際に使われることが多いですが、その使い方には親しみが感じられるものです。
ここでは、いろいろな状況での「こける」の使用例を見ていきましょう。
- 「あんた、ほんまにこけたんか?」
意味:(あなた、本当に転んだの?) - 「ワシ、今朝こけてまんなぁ」
意味:(私、今朝転んでしまったんだよ。) - 「こけたけど、なんともないわ」
意味:(転んだけど、大丈夫だよ) - 「こけへんように気をつけや」
意味:(転ばないように気をつけなさい) - 「こけそうになったけど、なんとか立ち直れたわ」
意味:(転びそうになったけど、何とか立ち直れたよ。) - 「あいつ、よう見とったら、こけとるやんか」
意味:(あなた、よく見ていたら、転んでいるじゃないか。) - 「試験、勉強せんとこけるで!」
意味:試験、勉強しないと失敗するよ! - 「あのたこ焼きのお店、こけてるらしいで」
意味:あのたこ焼きのお店、経営がうまくいってないらしい。 - 「彼、最近仕事でこけてばっかりやな」
意味:彼、最近仕事で失敗ばかりしているね。 - 「あのたこ焼きのお店、こけてるらしいで」
意味:あのたこ焼きのお店、経営がうまくいってないらしい。 - 「あの子、初めてのデートで緊張してこけたらしいで」
意味:あの子、初めてのデートで緊張して失敗したらしい。
これらの例文からわかるように、「こける」という言葉は、ユニークな失敗を表現する際に柔らかい印象を与え、話し手と聞き手との間に一体感を生む効果がありますね。
特に、関西弁のこのような例文は、その場の雰囲気を和らげる、ときにはちょっとブラックジョークのような雰囲気を感じる言葉ですね。
まとめ
関西方面で頻繁に使われる、この「こける」の言葉は標準語の位置づけの言葉であることがわかりましたが、やはり関西地方をイメージし易い言葉でもあります。
それは、この「こける」と言う言葉と、関西独特のイントネーションが混ざり、関西弁のイメージを醸しています。
それ以外に各地でみてみると、兵庫県但馬方言の「こける」、東北地方の「ころぶ」、九州地方の「ころげる」、北陸地方の「ころがる」などが、「転ぶ」や「倒れる」といった言葉で使われていて、地域によって微妙な違いがありますが、基本的な意味合いは共通しています。
特に、関西地方ではうまく行かないことの意味合いで、この「こける」を使う一面もあります。
いかがだったでしょうか。
言葉には地域性があり、それぞれの言葉が地域の個性や風土を反映しているのが特徴ですね。